SCP-940-JP -ハッピークローバー

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SCP-940-JPの第四階層

アイテム番号: SCP-940-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-940-JPの入り口は常に2名以上の警備員によって監視され、1日に1度、それ以外の警備員によって各階層の見回りが行われます。その際、ドアの開閉が確認できた場合、担当者への報告、並びに機動部隊による対象の制圧作戦が展開されます。また、SCP-940-JPの各階層に存在する部屋への侵入は実験以外では禁止されています。

説明: SCP-940-JPは群馬県██市に存在している4階建てのアパートメントです。大きな特徴として、各階層が特定の色を基調としている点が挙げられます。また、それらの階層に存在している部屋は開放が不可能な物以外は全てポータルとなっており、別の世界へ転移が行われていると推測されています。同階層であれば転移先の世界は全て繋がっている事が実験により判明していますが、各世界毎に特定の距離を移動した場合、不可視の壁により進行が不可能となります。以下はその各階層の色と転移先についての一覧です。

第1階層 毎時3000~5000ミリシーベルトの放射線量が観測される世界。辺り一体が霧に囲まれている。一部植物が存在しているが、全て生命活動は停止している。動物は確認されていないが、聖書等の人間が存在していた痕跡が数個発見されている。しかし、それらに異常性は見られない。そのため、核兵器等によって滅亡を迎えた別世界ではないかと推測されている。
第2階層 複数の人間が生活しているスラム街のように見える世界。住人の証言より、このスラム街はドイツに存在している事が判明しているが、同一の場所にスラムは存在していない。他の階層と比べ危険性が低いため、SCP-940-JPの実験はこの階層で基本的に行われる。
第3階層 物品が散乱した部屋。特に鳥類の骨が非常に多く存在している。人間が生活を行っていた形跡が発見されているが、現在までに動植物は発見できていない。部屋にはメモ書きが存在しており、「Hap██ness w██ not ███where!」(黒塗り箇所は判別不能)と乱雑に書き殴られている。また、特筆すべき点としてこの階層で開放可能な部屋は1つのみであった。
第4階層 2足歩行の狼によって支配されている世界。人間の存在も確認できるが、いずれも奴隷として扱われている。探索調査より持ちかえった記録によると、猟師による1匹の狼の殺害がきっかけで、人間と狼とで戦争が発生したとされている。この階層から複数の狼の収容違反が事件記録として確認されているため、全ての部屋は施錠される。SK-クラス:支配シフトシナリオが起こった世界ではないかと推測されている。

発見経緯: 財団のフロント企業である「SC PROPERTIES INC.」がSCP-940-JPを含む地域の買収を行う際に、当該アパートメントのオーナーから如月工務店に関する証言が得られたために発見されました。オーナーの自宅からは以下のような文章が発見され、童話解放戦線1との関連も疑われましたが、いずれも無関係である事が判明しています。

平成26年2月17日

童話解放戦線様へ

有限会社 如月工務店

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、あの童話解放戦線様からの直々のご依頼をいただいた事、並びに皆様と貴重な絆を結ぶに至りました事、大変喜ばしく思います。
この度童話解放戦線様のご依頼でありました「童話の続きがある場所」のご希望に沿う為、弊社一同心を込めて全力で向かわせていただきました。別世界より、童話と同一の世界を見つけ出すのは大変苦労しましたが、無事、完成と相成りました。
私どもが童話解放戦線の皆様のお力となれました事、大変喜ばしく、また誇りに思います。
つきましてはこの物語が終わりなく永遠に続く事を祈り、締めの言葉とさせていただきます。

皆様の今後より一層のご発展を、心より祈念申し上げます。

謹白

補遺: SCP-940-JPの第2階層における探索調査がDクラス職員を用いて行われました。その際、内部に存在する実体に対してインタビューが行われました。以下はその抜粋となります。

インタビュー記録 940-JP-█:

対象: SCP-940-JPの第二階層に存在している男性(以下SCP-940-JP-1)

インタビュアー: D-7811

<録音開始, 20██/██/██>

D-7811: なぁ、そこのオッサン。これやるから、ちょっと俺と話してくれよ。

[D-7811が財団から支給されたタバコをSCP-940-JP-1に手渡す。]

SCP-940-JP-1: ここの流儀が分かってるみたいだな。いいだろう。話しを聞いてやる。

D-7811: 昔俺も同じようなとこに住んでてね。じゃあ尋ねるけど、オッサンはなんでこんな所にいるんだ?

SCP-940-JP-1: [タバコに火を付ける]城下町の方でパン屋を営んでたんだが、もうどうにもならなくなってな。

D-7811: ここの近くには城下町があるのか。どんな所なんだ?

SCP-940-JP-1: そりゃあ酷い所だ。経済は回らねぇし、政策も無茶苦茶だ。おまけに姫様はあのバカ王子にぞっこんときた。やってられねぇよ。

D-7811: そんなに王子は酷い奴なのかい。

SCP-940-JP-1: ああそうさ! どこの誰だか知らないが、突然奇妙な格好で街に現れたと思ったら、何故か王子になっていやがった。

D-7811: 奇妙な格好?

SCP-940-JP-1: [2本目のタバコに火を付ける]まるで芋虫みたいにとんでもない人数とくっつきながら行進してきてよ。それを見た姫様は大爆笑ってわけだ。他の奴らのどんなバカみたいな格好にも笑わなかった姫様がな。

D-7811: あー、もしかしてそいつ、金ピカの鳥を連れてきてたりしなかったか?

SCP-940-JP-1: よく知ってるな。

D-7811: 話というか、噂を聞いた事があってな。それで?

SCP-940-JP-1: それで気にいったのか、あれよあれよというまにあいつは王子になりやがった。でもな、田舎の奴に街の政治や経済の事なんて分かると思うか?

D-7811: じゃあ今城下町は相当酷い状態なんだな。

SCP-940-JP-1: そうだ。残ってるのは元々金を持ってた奴らだけ。俺らみたいな個人で小さい店をやってた奴らはみんなこっちに追いやられたんだ。もうここで暮らして何年目になるか。

D-7811: 何年も経ってるのか。それなら1回様子を見に行ってみたらどうだ? もしかしたらその王子とやらも改心して立派な王様になって、街も建て直してるかもしれない。

SCP-940-JP-1: まさか。 [6秒間の沈黙] おとぎ話じゃ、あるまいし。

[以降、SCP-940-JP-1は沈黙したためインタビューを終了した。]

<録音終了>

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ディスカッションに補足あり
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